ほとんど使われることもない家の固定電話が鳴る。
息子の新しい担任からの連絡だった。
「来週月曜日8:15にSNSの不適切使用の件で校長先生から話があるのできちんとした服装で学校に来てください。」
とのこと。
いきなりであせる。
息子に何をやらかしたのか聞いた。
かなりいろいろあったようだが、要点をまとめると以下。
クラスのある女子生徒に対して性的な嫌がらせのメッセージが送られた。送り主が誰なのかが分からないのだが、おそらくA君。ただA君だという確証がその女子生徒にはない。
その相談を受けた息子は正義感を働かせ、後輩女子のふりをして、A君に対して嫌がらせのメッセージの送り主しか知らないことを答えさせる質問を送ってかまをかけた。それでひっかかった送り主がA君だと発覚した。それ以降、A君は学校に来ていない。
「なるほど、それはよくやったな。おまえは別に悪くないだろ。」
なんで息子が指導だか処罰の対象になるのかよくわからないな。A君が問題なのではないか?A君ではなくてなんで息子なんだ?
学校では息子がその時取った手段で、SNS上で後輩女子になりすましたことが問題とされているとのこと。
なりすましたのはよいことではない。
ただ、これは息子がその女子生徒を守るためにやったことで、息子が責められることではないのでは。学校側がもっと早くA君に対処するべきだったんじゃないのか?
これまでA君がやらかしてきたあれこれの話は聞いている。
学校が対処できていなかったせいで他の女子生徒にも被害が及んでいる状況がある。
このことを持ち出して問題なのはA君ではないのですか?と息子の手前、学校側と戦わなくてはいけないのかとまで考えた。
息子は停学とかなったらもう学校辞めて旅に出るからとか言い出している。
うーん、困ったな。どうしたもんだか。
そうだ。恵子先生に相談してみよう。
というわけで恵子先生にこれまでの経緯を伝え、いざとなったら学校とは戦う用意はあるのですが、どうでしょうか?と聞いてみた。
「それは待ってください。」
とすぐに回答があった。
学校側で誰がどのように動いていて、息子に対してのなんらかの指導が必要になっている学校側の事情、そこを考慮に入れた上でどう動いたらよいか。
あと息子の性格やら今後考えている進路、通っている学校の特徴も踏まえた上での通り一遍ではないこの出来事についてのアドバイスをもらった。
おかげで穏便に済ませる方向で、落ち着いて対処法を考えることができるようになった。
この時期にわざわざ事を荒立ても良いことはなさそう。
当日朝、息子と一緒に電車に乗って高校に向かう。
「もう退学とかになったら山形のぶどう農園でワイン造り修行するから。」
とか言ってる息子。
「それもいいんだけどそこまではないと思うなあ。」
となだめつつ二人で学校に向かう。
まずは生徒指導室で、生徒指導の先生から事実確認とこれから校長先生の前で何をするか、の話。ここで持ち出されたことは、息子自身のなりすましでSNS使ったことについてのみだった。
それから校長室に移動し、校長先生の正面に息子、隣に私。
で、生徒指導の先生からの経緯の説明の上、校長先生からの話。
息子に対して、このなりすましについてはどう考えているのか?と問われ、息子は女子生徒のためにやったことだけど、その手段は良くなかった。と答えた。
それで、通常だったら停学になっていたところ、事情を踏まえて処分は原稿用紙2枚の反省文を書くことと生活指導の先生から伝えられる。
学校での校長先生、生活指導の先生は特に感情的になることもなく、事実を元に息子の指導のために必要な手順を順番に進めていた。あくまで息子が間違った方向に進まないために学校の責任として指導してくださっているという印象を受けた。
停学など重い処分が言い渡されるような心配していたことはなく、息子はワイン造りの修行に旅立ってしまうこともなく、その日の午前中にはクラスに戻った。
恵子先生に相談したことで、学校側の事情を踏まえたアドバイスをもらったおかげで、余計なことを持ち出して事を荒立てることもなく落ち着いて対応することができた。
やはりどこに相談して良いかわからないことは恵子先生は頼りになります。

